“アゴーギック”
音楽の感じに合わせて、
テンポが速くなったり遅くなったり、
またはリズムが揺れたりすること。
(後者は厳密にはルバートと言う)
表現要素の中で、
最も難しいものの一つで、
演奏を芸術的に仕上げていくための、
きっかけであり、また要となるもの。
アゴーギック、
それは、やじろべえのようなもの。
止まったまんまだと役をなさず、
揺れることで、生命あるものとなる。
そしてその揺れは、
大きければ大きいほど、
スリリングなバランス感覚を、
存分に楽しめるのだけれど、
限界点を超えた瞬間、
見事落下してしまう。
好みから言えば、私は、
綱渡りのようにさえ感じられる、
大胆なアゴーギックが好き。
その大きな揺れに必要な、
絶妙なバランス感覚と柔軟なリズム感。
演奏しながら、
難しものだな…と、いつも思う。