ブラームスワルツ あれこれ…
最後にもう一つだけ、
形式の方に目を向けてみると…
一曲一曲の長さは短く、
反復の小節をすべて勘定して、
最長のもので僅か80小節(第11番)程度。
形式的には、二部形式と三部形式のみ。
つまり、全曲を通して、
無駄のないシンプルな作りで、
ピアノ作品であるとともに、
作曲の基礎教材にもなり得るような、
そんな作品集なんですよね。
例えば同じ二部形式でも、
再現フレーズを、
単純反復のするもの、
色々な技法で発展するもの、
…と色々あり、
ブラームスの作曲技法を、
チラリと垣間見る思いがする。
しかし、このような短い、
シンプルな形式の曲を、
よくここまで芸術的に書いたな…と、
ブラームスに対する、
尊敬の念新たなる今日この頃。
例えば、第三番嬰ト短調。
8小節+8小節の、
基本的箱型に作られたと思えないほど、
多くのことを語りかけてきます。
これは、言葉の丈を尽くして、
長文で何かを訴えるよりも、
ずっと難しいこと…。
この連弾集を知ることで、
重厚な交響曲や室内楽作品が、
その代表作であるブラームスの、
別の一面を垣間見ることができる…。
そんな気がしているのです。
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